新型コロナウィルスが蔓延し始めてから1年が経過し、2度目のステイホームなゴールデンウィーク。

今年ものんびりおうちで楽しむこととし、せっかくなので友人にElite Dangerousでセッションしようぜと誘ったところ、「子供に宇宙を見せてやりたい」という流れとなり、この度宇宙旅行をすることになりました。

ゲームで太陽系を見せるという初めての試みでしたが、なかなか面白かったので忘備録的にどんなことをしたかをざっくり残しておきたいと思います。

Elite Dangerous とは

イギリスのケンブリッジにある Frontier Developments 社(通称FDEV)が開発・販売しているMassively Multiplayer Online Space Trading And Combat Simulatorで、1984年から続くPCゲーム「Elite」シリーズの最新作。

日本では「エリデン」という愛称で親しまれています。

その名の通り、仮想宇宙空間で交易したり戦闘したり探索したりできるゲームです。

公式サイトの他、SteamEpicGame Storeから購入可能で、2021年には宇宙船から降りてFPSモードとして遊べるDLC「Elite Dangerous: Odyssey」が開発中です。

プレステやXBOXでも販売されていますが、日本語には対応していません。
(当面日本語化の予定はないそうですが、日本語しか分からなくても、プレイ内容についてはそこまで難しくはありません)

PCVRに対応しており、Oculus Questなどを接続してVR視点で宇宙船を操作することもできます。

この世界の舞台は、現実世界から1286年後の天の川銀河全体、およそ4000億の実際に移動することができる星系と、それを遥かに超える数の惑星で構成されるこの銀河で1人の人間(CMDR)となり、自分の宇宙船を駆り、自由なプレイスタイルで世界に関わる事ができるのがウリです。

銀河地図

プレイヤーのすべての行動は全世界のプレイヤーと共有され、治安や経済、ストーリーに影響するという壮大すぎる世界観と、最新のグラフィック技術で描かれる美しい宇宙空間を自由に航行できるという点から、世界中のSFファン層の支持を得、現在も活発に新要素などの開発が進んでいます。

WordPressのコミュニティと似た、暖かいプレイヤーコミュニティが存在することでも有名で、中には実際にゲーム内のプレイヤーファクションとして公式から認められるコミュニティもあります。

現在人類が発見している星系や星雲はできうる限り再現されているほか、そうでない部分についてもある程度科学的な考察を踏まえた上でシミュレーションされ、驚くほど自然な形で再現されています。
(たまに何のジョークかというような星系もありますが・・・「この広い宇宙ではもしかしたら」と思えてしまうほどに自然に溶け込んでいます)

なので、当然我々が住む太陽系「SOL」も1000年の歴史を加味したうえで再現されています。

今回は、私の観光船にCo-Pilotとしてブリッジに一緒に乗り込んでもらい、「SOL」をパイロット視点から見てもらおうという試みです。

マルチプレイヤーモードを使って宇宙旅行をしてみよう

Elite Dangerousは複数人搭乗することができる艦船が複数あり、メインCMDRが操縦する艦船が対応していれば、誰でも補助席に乗る事ができます。
戦闘の補助はもちろんですが、座ってるだけでもOK。

今回は、艦載機を使っての自由遊覧もプランに入れたいと思い、戦闘ロールで友人を招待しシートに座ってもらいます。

せっかく観光したいということだったので、今回はゲーム内でも最大級かつ最高級クラスの観光船、Saud Kruger社の「Beluga Liner」を購入しました。

Buildについてはこちら

ゲーム内設定でもVIPを載せて観光するための船とのことだけあり、通常の艦船と比べて視界がめちゃくちゃクリア、かつ広くとれるためマルチプレイヤーでの観光用途としても最適です。
もちろんお値段も相応(ビルド費用はおよそ2.2億CR)しますが、観光船は持ってなかったこともあり、いい機会だと思い購入することに決めました。
(実際VIPも乗り込むことですし!)

今回の行程

出発地はSOLから64.43光年離れた「Shinrarta Dezhra」星系。
(ここにあるJameson Memorialステーションは私の拠点でもあります)

ここからFrameShift Driveによるハイパースペースジャンプを行い、2回のジャンプを経てSOL星系へ侵入する計画です。

パイロットは私、友人はアテンダント役。

飛行経路は一般的な太陽系の覚え方「水金地火木土天海冥」にならい、

  1. 水星
  2. 金星
  3. 地球
  4. 火星
  5. 木星
  6. ガニメデ(地表に基地があるため、着陸して補給を兼ねたトイレ休憩)
  7. 土星
  8. 土星のリングへ降着し、リングについて見学、及び搭載している艦載機で自由遊覧
  9. 天王星

というプランを計画しました。

なお、土星以遠は太陽の光が弱く、暗くて何も見えないため、実質土星までがコースとなります。

基本的にFSDによるスーパークルーズのみで状況を進めます。

留意点

現実と違う点をあらかじめ説明しておくと混乱や誤解が減るかもしれません。(状況に応じてでいいと思いますが)

  • Elite Dangerousの世界はあくまで商業的なゲームであるという性質上、相対性理論が大雑把に解釈(あるいは無視)されています。
  • Elite宇宙独特の物理法則がある関係で、通常空間での最大速度は乗っている機体の設定値以上は出ないようになっています。
    (人が扱う以上、安全装置的なものがついてるとも解釈はできます)
  • 歴史的な背景から火星はテラフォーミングされていて、地球のような見た目をしています。
    (第三次世界大戦が地球で起こり、恐らくこの時Fallout的な事態が地球全体で発生したであろうことが年表で語られています
  • 移動はFrame Shift Driveによる超光速移動のため、実際の航行と比較し、移動時間は飛躍的に短縮されます。
    (原理としては、アルクビエレ・ドライブの理論と似ている)

この点はあらかじめ理解してもらう必要があるかもしれません。

実際に飛んでみた感想

実際に宇宙船視点で星を見れるということで、友人のお子さんたちの反応も上々でした。

水星や金星などに接近するたび歓声があがり、地球に行くとなったら、手元に地球儀を持ってくるなどなかなかの興味具合。

実際地球近傍を航行する際には、地球儀と画面内の地形を照らし合わせてみたりなどして盛り上がっていた様子。

残念ながら、画面内の地球では日本は夜で地形が見えなかったですが、人が住んでいる場所は夜は現実さながらの夜景が見えることを教えたり、そのまま地球を一周して日の出の瞬間を見てもらうなど、一通りのアクティビティを実施しました。

SOL System - Earth 夜明け
SOL System – Earth 夜明け

また、木星にもリングがあるということを教えたり、土星のリングがどのようになっているか実際に接近して観察してみる段においては、「これ環っか?すごいー!」と歓声があがったりなど手ごたえは上々。

地上基地にドッキングしてトイレ休憩をはさんでみたり、実際にリングの間を飛んでみて輪っかは実はすごく薄いということを伝えてみたり、実際に艦載機でリングを構成するガスや小惑星の中を飛んでもらったり(Co-Pilotは艦載機を発進させて戦闘支援を行えるので、そのモードを使用)など、ツアーらしいことも実施したり。

トイレ休憩中に、お子さんから地球と月や火星との間の距離や実際の移動時間、ガス惑星(木星)の気象について教えてほしいと直接私に質問をしてくれたりなど、実際にやってみてよかったなと思える出来事もあり、大変有意義だったと思います。

全行程をあわせても1時間程度のため、子供が集中できる時間内に終わらせられる内容だったので、初めて開催してみたにしてはよい結果を得られたと思います。

開催終了後には、お子さんもずっと惑星関係のお話をしていたとのことで、楽しんでもらえて本当になりよりでした。

ただ、操縦しているのは私なので見てるだけの方は1時間以上の集中力は持たないかなーという感じもやはりあります。
(最終的にはお子さん方の集中力が切れたタイミングで、流れで終了ーみたいな感じで終わりました)
艦載機は上記の通り誰でも操作できるので、それを使って飛んでもらう機会を増やしたり、着陸できる星にはもっと降下したりするのもありだったかも?

学校の授業が45分、実際大人でも集中力はもってそれくらいのものなので、サクッとそれで終わるように行程を組むべきなのかも、とも思いますね。

未来の宇宙ステーション(想像図)として各種スターポートを見学してもらうのもいいかな?
(その時は罰金覚悟で艦載機飛ばしてもらおうw)

次回やるときはこのあたりのコースも考えたいところです。

ゲームを通じて宇宙を知ってもらう試み

Elite Dangerousはあくまで空想科学の世界ではありますが、重力や惑星軌道などの数字についてはそれなりの値が反映されていることもあり、説得力があります。
例えば、太陽系の星図についてはなかなかリアルに作りこまれていますし、画面の数字を見せながら「地球の重力は1Gなんだよ」などなど、プラネタリウムさながらの事を、よりリアルな視点から体験してもらえるのではと思います。

木星には実際には70以上の衛星があることが知られていますが、さすがにそこまで再現はされていなかったりなど、細かい点はやはり違う点も多いですが、メインとなる要素はかなり現実に即した形で再現されています。

こういうゲームという媒体を通じて、実際の宇宙にも興味を持ってもらうという新しい角度からのアプローチをしてみるのも面白いかなと、そういった点ではElite Dangerousという作品は本当によい教材になるのではないかなと思っています。

実際にお子さんと一緒に空を飛んで銀河中心部まで2人で距離を計算し最短コースを割り出したうえで2時間以内で旅行した教授がいたという記事もどこかで読んだ記憶があります。

この作品を通じて、より宇宙に興味を持ってもらえる機会が増えれば、プレイヤーとしても非常にうれしい限り。

皆でわいわい騒ぎながら、あくまでこれはゲームだけどゲーム以外の目的でプレイしてみるのもいいものだなぁと体感できた、よい休日でした。

次やるときは、実際に見える星雲とかになるかな?
Pleiades星団とか・・・あそこは敵対する異星体「Thargoid」が跋扈してるからあんまり行きたくないけど・・・w